物理 約10分

自由落下・鉛直投げ上げの解き方

自由落下と鉛直投げ上げを重力加速度gと等加速度の公式で解説。最高点や落下時間の求め方、符号の決め方を例題つきで紹介する物理基礎の定番テーマを10分で。

make sense 編集部 ・ 公開 2026/6/17

自由落下って結局どんな運動?

自由落下は、物を「そっと手放して」落とす運動のこと(初速0で落ちる)。空気の抵抗は無視して考える。

ここで大事な事実が一つ。重い物も軽い物も、落ちる速さの増え方は同じ。1円玉も鉄球も、空気抵抗がなければまったく同じように落ちる。これはガリレオが見抜いた有名な話だ。

なぜそうなるかというと、落下しているとき物には重力がはたらき、それによって生じる加速度が物の重さによらず一定だから。この加速度を重力加速度といい、記号 gg で表す。

g9.8 m/s2g \approx 9.8 \ \text{m/s}^2

つまり自由落下は「初速0・加速度 gg の等加速度直線運動」にすぎない。新しいことは何もなく、前に学んだ公式がそのまま使える。

公式は覚え直さなくていい?

そう、覚え直し不要。等加速度の3公式で、加速度 aa を重力加速度 gg にするだけ。下向きを+、初速0とすると、

v=gtv = gt

y=12gt2y = \dfrac{1}{2}gt^2

v2=2gyv^2 = 2gy

ここで yy は落ちた距離、vvtt 秒後の速さ。元の公式(v=v0+atv = v_0 + at など)で v0=0v_0 = 0a=ga = g とすれば、そのままこの形になる。

たとえば手を離してから2秒後の速さは、

v=gt=9.8×2=19.6 m/sv = gt = 9.8 \times 2 = 19.6 \ \text{m/s}

落ちた距離は、

y=12gt2=12×9.8×22=19.6 my = \dfrac{1}{2}gt^2 = \dfrac{1}{2} \times 9.8 \times 2^2 = 19.6 \ \text{m}

公式が同じなので、自由落下が解ければ等加速度運動も解けるし、逆もまた然り。

投げ上げは何が変わる?

鉛直投げ上げは、物を真上にポンと投げる運動。自由落下との違いは初速がある(上向き)こと。でも本質は同じで、やっぱり等加速度直線運動だ。

ここがキモなのだけど、投げ上げでも、上がってる最中も下がってる最中も、加速度はずっと下向きの gg で一定。「上がるときはどうなってるの?」と迷うけど、重力は常に下向きにはたらいているので、加速度は最初から最後まで変わらない。

上向きを+に決めると、初速は+(上向き)、重力加速度は下向きなので=マイナス。だから式は次のようになる。

v=v0gtv = v_0 - gt

y=v0t12gt2y = v_0 t - \dfrac{1}{2}gt^2

v2v02=2gyv^2 - v_0^2 = -2gy

gg の前にマイナスが付いただけ。符号は「上向きを+にしたから、下向きの重力はマイナス」と決めた結果で、難しい話ではない。

最高点ではどうなってる?

投げ上げで一番のポイントは最高点。ここで物は一瞬止まる。つまり最高点では速度が0

「速度が0なら加速度も0?」と思いがちだけど違う。速度は0でも、加速度は下向きの gg のまま。だから次の瞬間にはちゃんと落ち始める。速度が0なのは「上向きの動きが止まった一瞬」というだけで、重力は休まずはたらき続けている。ここは引っかけポイントなので要注意。

最高点までの時間は v=v0gt=0v = v_0 - gt = 0 から、

t=v0gt = \dfrac{v_0}{g}

最高点の高さは v2v02=2gyv^2 - v_0^2 = -2gyv=0v = 0 として、

y=v022gy = \dfrac{v_0^2}{2g}

符号で迷わないコツは?

落下・投げ上げの計算でつまずく原因は、ほぼ符号。コツはたった一つ、最初に「上向き・下向きのどちらを+にするか」を決めて、最後まで貫くこと。

  • 自由落下だけなら、下向きを+にすると gg がプラスのままで楽。
  • 投げ上げなら、上向きを+にすると初速がプラスで考えやすい(このとき gg はマイナス)。

決めた向きと逆を向く量にはマイナスを付ける。これだけ守れば、上がって落ちてくる運動も一つの式で通して計算できる。

例題で確かめよう

初速 19.6 m/s で真上に投げ上げた。最高点に達するまでの時間と、最高点の高さを求めよ。g=9.8 m/s2g = 9.8 \ \text{m/s}^2 とする。

上向きを+、v0=19.6v_0 = 19.6g=9.8g = 9.8 とする。

最高点までの時間は、最高点で速度0だから、

t=v0g=19.69.8=2 秒t = \dfrac{v_0}{g} = \dfrac{19.6}{9.8} = 2 \ \text{秒}

最高点の高さは、

y=v022g=19.622×9.8=384.1619.6=19.6 my = \dfrac{v_0^2}{2g} = \dfrac{19.6^2}{2 \times 9.8} = \dfrac{384.16}{19.6} = 19.6 \ \text{m}

ちなみに、最高点から地面に戻ってくるまでにも同じ2秒かかる(上りと下りは対称)。だから投げてから戻るまで合計4秒。この「上りと下りの対称性」を知っておくと、検算や時短に効く。

よくある質問

Q. 自由落下と投げ上げの違いは?
A. 初速度が0か上向きかの違いで、どちらも加速度は重力加速度g(下向き)です。
Q. 最高点での速度は?
A. 0です。ただし加速度は下向きのgのままなので、次の瞬間から落下に転じます。
Q. 重い物と軽い物はどちらが速く落ちる?
A. 空気抵抗を無視すれば同じです。重力加速度gは物の重さによらず一定だからです。

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