物理 約10分

速さと速度の違いとは?図でわかる基礎

速さと速度の違いを「向きのあり・なし」からやさしく解説。平均と瞬間の速度、道のりと変位、合成速度・相対速度まで物理基礎の最初の一歩を10分で。

make sense 編集部 ・ 公開 2026/6/17

速さと速度、何が違う?

日常会話では「速さ」も「速度」もほぼ同じ意味で使うけど、物理ではキッチリ区別する。違いはたった一つ、向きの情報があるかどうか

  • 速さ…大きさ(数字)だけ。例:時速40km、秒速5m。
  • 速度…大きさ+向き。例:東向きに時速40km、上向きに秒速5m。

たとえると、速さは「どれくらいの勢いか」、速度は「どっちにどれくらいの勢いか」。地図アプリで「時速40kmで移動中」と出るのが速さ、「北に向かって時速40km」まで分かるのが速度のイメージ。

物理では向きまで含む量をベクトル、大きさだけの量をスカラーと呼ぶ。だから速度はベクトル、速さはスカラーだ。難しそうな言葉だけど、「矢印で描けるのがベクトル(速度)」「数字だけがスカラー(速さ)」くらいのざっくり理解でOK。

速さはどうやって計算する?

速さは「進んだ距離 ÷ かかった時間」。これだけ。

v=xtv = \dfrac{x}{t}

ここで vv が速さ、xx が進んだ距離、tt が時間。単位はメートル毎秒(m/s)やキロメートル毎時(km/h)を使う。正確にいうと、この式で出るのは区間をならした平均の速さ(速度が変わらない運動なら、そのまま一定の速さ)。一瞬ごとの速さ(瞬間の速さ)は後の「平均と瞬間」で扱う。

たとえば100mを20秒で走ったら、

v=10020=5 m/sv = \dfrac{100}{20} = 5 \ \text{m/s}

で、秒速5m。式を変形すれば「距離 = 速さ × 時間」「時間 = 距離 ÷ 速さ」も出せる。三つの関係はこの一本の式から全部導けるので、丸暗記より「距離÷時間」だけ覚えるのが楽。

単位の変換はどうする?

m/s と km/h を行き来できると便利。覚え方はシンプルで、km/h を 3.6 で割ると m/s、逆に m/s に 3.6 をかけると km/h

1 m/s=3.6 km/h1 \ \text{m/s} = 3.6 \ \text{km/h}

なぜ3.6かというと、1時間=3600秒、1km=1000mなので、10003600=13.6\dfrac{1000}{3600} = \dfrac{1}{3.6} になるから。たとえば秒速5mは 5×3.6=185 \times 3.6 = 18 km/h だ。

平均の速度と瞬間の速度って?

「速度」と一口に言っても、見る時間の幅で2種類ある。

平均の速度は、ある区間をまるっと見たときの速度。移動した距離(正確には位置の変化)を、かかった時間全部で割る。

vˉ=ΔxΔt\bar{v} = \dfrac{\Delta x}{\Delta t}

Δ\Delta(デルタ)は「変化量」を表す記号で、Δx\Delta x は「位置がどれだけ変わったか」。途中で速くなったり遅くなったりしても、全体をならした値が平均の速度だ。

瞬間の速度は、まさにその一瞬の速度。車のスピードメーターが今この瞬間に指している値がこれ。時間の幅 Δt\Delta t をどんどん小さくして、限りなく0に近づけたときの値、とイメージすればいい。

たとえば渋滞でノロノロ→高速でビュンと走った場合、平均の速度はそこそこの値になるけど、高速区間の瞬間の速度はめちゃくちゃ速い、みたいに両者はズレる。

向きがあると何が便利なの?

速度に向きがあると、「行って戻る」運動の扱いがきれいになる。

たとえば右向きを+(プラス)と決めると、右に進むときは速度が正、左に進むときは速度が負で表せる。マイナスの速度=「逆向きに進んでいる」という意味になるわけだ。向きを符号で表せるから、計算で自然に「戻る」が扱える。

ここで大事な区別がもう一つ。

  • 道のり(距離)…実際に動いた長さ。常にプラスで積み上がる。
  • 変位…スタートからゴールまでの「位置の差」。向き付き。

10m右に進んで10m左に戻ったら、道のりは20mだけど、変位は0(元の場所に戻ったから)。このとき平均の速さは「20m ÷ 時間」だけど、平均の速度は「0 ÷ 時間 = 0」。同じ運動なのに、向きを含めるかどうかで答えが変わる。ここが速さと速度の差が一番ハッキリ出る場面だ。

速度を足すとどうなる?(合成速度・相対速度)

向きがあると、速度どうしを矢印として足し引きできる。これが合成速度相対速度

川を泳ぐ人を考えよう。人が水に対して進む速度と、川の流れの速度を足し合わせると、岸から見た実際の速度(=合成速度)になる。流れと同じ向きなら速く、逆向きなら遅くなる。

v合成=v+v\vec{v}_{\text{合成}} = \vec{v}_{\text{人}} + \vec{v}_{\text{川}}

逆に、走っている電車から外の車を見ると、止まってる人が見るより遅く(または速く)見える。これが相対速度で、「自分から見た相手の速度」のこと。式にすると、

v相対=v相手v自分\vec{v}_{\text{相対}} = \vec{v}_{\text{相手}} - \vec{v}_{\text{自分}}

どちらも「速度は向きを持つから足し引きできる」というベクトルの性質を使っている。速さ(数字だけ)だと、こういう計算はうまくいかない。向きのありがたみがここで効いてくる。

よくある質問

Q. 速さと速度の違いは?
A. 速さは大きさだけ、速度は大きさ+向きをもつ量です。
Q. 平均の速度と瞬間の速度の違いは?
A. 平均は区間全体の変化、瞬間はある一点での速度(v-tグラフの接線の傾き)です。
Q. 道のりと変位はどう違う?
A. 道のりは実際に動いた長さ(常に正)、変位は始点から終点までの位置の差で向きを持ちます。往復すると道のりは増えますが変位は0になります。

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